その計画、本当に意味がありますか?
綿密な計画を立てているはずなのに、なぜか結果が出ない。
むしろ、計画に時間をかければかけるほど、状況は悪化していく……。
その違和感の正体は、意外とはっきりしています。
世界の前提が、変わってしまったからです。
OODAというフレーム
その変化を象徴するフレームの一つが、「OODAループ」です。
これは米軍が採用してきた意思決定モデルで、
- Observe(観察)
- Orient(状況判断)
- Decide(意思決定)
- Act(行動)
というサイクルを、ひたすら高速で回し続ける、というものです。
ここで重要なのは、「計画」ではなく、“観察”から始まることです。
戦場では、計画を立てた瞬間に状況が変わります。
だからこそ、「今、何が起きているのか」を常に捉え続けることが最優先。
そしてこの発想は、もはや戦場だけのものではありません。むしろ今のビジネスの方が、よほど戦場に近い。
意思決定においてPDCAが機能しなくなった理由
長年、企業経営の基本とされてきたのがPDCAです。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Act(改善)
しかし、このフレームは本来、“安定した世界”のためのものです。未来が予測でき、前提条件が大きく変わらない世界。だからこそ、「計画」が意味を持って来ました。
ですが、今はどうでしょうか。
iPhoneが1億ユーザーに到達するまで約2年。
一方でChatGPTは、わずか2ヶ月で到達しました。
変化のスピードは、もはや10倍どころではないのです。
この環境で「計画を練る」ことに時間をかけるのは、もはや合理的ではありません。
地図を書いている間に地形が変わるようなものです。
BANIの時代に、なぜ人は動けなくなるのか
とはいえ、「じゃあすぐ動け」と言われても難しい。それは当然です。
私たちは今、BANIと呼ばれる世界に生きています。
- Brittle(脆弱な)
- Anxious(不安な)
- Nonlinear(非線形な)
- Incomprehensible(理解不能な)
何が起きるかわからない。原因と結果もつながらない。正解も見えない。
動けないのは、能力の問題ではなく、環境の問題なのです。
BANI時代の意思決定の原則
では、どうすればいいのか。結論はシンプルです。
「まず観察し、小さく動き、修正し続ける」
もう少し正確に言えば、
世界がどうなっているかを正しく把握し、
自分たちのスペックを過大評価せず、
その範囲内で試しながら軌道修正する
これに尽きます。
完璧な計画は不要です。むしろ、それは足かせにしかなりません。
華々しい経験も不要です。むしろ、それは意思決定を歪める“経路依存”にしかなりません。
綿密な計画はもう要らない
実際、アメリカの企業の中には、中期経営計画そのものを立てない企業が増えています。
理由は明確です。未来が読めないのに、3年後を固定化すること自体がリスクだから。
綿密な計画が意味を持つ範囲は、急速に狭まっています。
重要なのは、計画の精度ではなく、ビジョンの明確さと修正の速さです。
まず、一歩踏み出す
アントニオ猪木が引退試合で詠んだ、有名な「道」。
この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし
踏み出せば、その人足が道となり、
その一足が道となる
迷わず行けよ、行けばわかるさ
考えすぎると、人は動けなくなります。そして、動かなければ何も変わりません。
だからこそ必要なのは、計画ではなく、「最初の一歩」です。
では、このような意思決定は、どこで実践されているでしょうか。
すべての答えは、リングにある。
こうしたBANI時代の意思決定や行動原則は、実はプロレスの世界にすべて詰まっています。
予測不能な展開、状況に応じた判断、即興的な対応、外部知との接続……
それらを「思考」として体系化したのが、新刊
『プロレス思考――BANI時代にナラティブを導く・リングの知』です。
ビジネス、政治、社会、教育――あらゆる領域に応用できる「新しい思考法」をまとめた、真面目な一冊です。
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あなたは、まだ“未来が読める前提”で計画を立て続けますか?
それとも、一歩踏み出しますか?
藤本英樹(BBDF)

