先週2025年5月28日（水）、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律（以下、AI活用推進法）」が参議院本会議にて可決・成立しました。これは、日本におけるAI政策として初めての包括的な基本法であり、今後の産業政策や教育、労働分野にも大きな影響を及ぼすものとされています。（内閣府「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案（AI法案）概要」）
本記事では、まずこの法律の要点を整理したうえで、そこに潜む「中小企業にとってのリスク」と「今、求められる対応」について解説します。AI活用推進法が成立した今、待っているだけでは置いていかれます。中小企業こそ、主体的に動くべき時がやって来ました。
「AI活用推進法」主なポイント
この法律の正式名称は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」です。主に以下のような内容が盛り込まれています。
- AI技術の研究開発と活用を国家レベルで推進する
- 政府が「AI基本計画」を策定し、内閣に「AI戦略本部」を設置
- 教育・人材育成、研究資源の整備、施設の共用化などを進める
- ディープフェイク等の悪用に対するリスク調査と是正支援を行う
- 国・地方・事業者・研究者・国民それぞれの責務を明確化
これらの施策を通じて、日本におけるAIの開発力を高め、社会実装を後押しすることが基本的な目的です。
一見、歓迎すべき動き。しかし中小企業にとっては“見過ごせない穴”も
AI基本法の成立は、国としての方向性を示す意味でも重要な一歩です。しかし、今回の法律には中小企業にとって深刻な「見過ごせない欠落点」があります。
特に、次の3つは構造的な格差拡大につながりかねない要素です。
(1) 技術資源・データ・人材へのアクセス格差
大企業はすでに社内にAIエンジニアを抱え、計算資源（GPUなど）も整備しつつあります。一方で中小企業は、リソースも知識も乏しいまま、活用のスタートラインにすら立てないケースが多く見られます。
(2) 人材の囲い込みによる“空洞化”リスク
国が推進する「AI人材育成」は重要ですが、結果として大企業に人材が集中し、中小企業には波及しない懸念があります。中堅・若手人材の“都市部流出”や“AI人材の大手依存”が進む可能性があります。
(3) ルール遵守やリスク管理の負担が重くなる
AI活用における倫理・プライバシーへの対応など、ルール遵守の水準が今後高まっていくことが予想されます。大企業であれば専門部門を置けますが、中小企業ではそうした対応にリソースを割けず、結果的に「AIを使わない」判断になってしまう恐れがあります。
今、中小企業が持つべき視点とは
こうしたリスクを前に、私たちはどう対応すべきでしょうか？
答えは「構える前に、まず一歩動く」ことです。政治的な制度整備や支援を待っていても、即座に救済されるとは限りません。
大企業と同じ土俵で戦う必要はありません。むしろ中小企業だからこそ、小回りを活かした“試行と適応”ができます。そのために、次のような視点が重要だと考えています。
「専門家がいなくてもできるAI」から始める：
ノーコード・ローコードツールの活用「現場の業務改善」に直結する導入テーマを選ぶ：
目的なき導入を避ける「一社で抱え込まない」仕組みをつくる：
同業・地域内での共創ネットワーク化
弊社が提供する支援について
弊社（BBDF）は、こうした現場ニーズに応えるために、以下のような新たな4つのサービスラインナップを整えました。
BBドライビングフォース株式会社：「中小企業のためのAI導入・活用支援サービス」
① AIガバナンス設計支援：【ルールを整える】
社内ルールや活用方針、リスク対策の整備（規程テンプレ・ガイドライン作成等）を支援し、活用方針を明確化します。
② AI準備診断：【現状を知る】
自社のAI適応力・導入余地を簡易診断し、導入優先領域とアクションプランを提示します。
③ 現場実装ブートキャンプ：【試してみる】
ChatGPTなどを活用した業務改善を小規模導入・実装し、現場で試す際に並走支援します。
④ AI人材育成・内製化プログラム：【育てて広げる】
非エンジニア向けリテラシー講座＋業務実践など、人材育成と内製体制構築で、AI活用を組織に定着させます。
また、商工会議所や地域団体、業界ネットワークとの連携も進め、複数社での「協働AI活用」モデルづくりにも取り組んでまいります。
中小企業にこそ、AIで“跳ねる”チャンスがある
今や、AIは大企業だけの特権ではありません。むしろ、「現場のリアル」を知っている中小企業こそが、生成AIという“道具”を通じて、革新的な価値を生み出すことができるのです。
もしもAIの導入や活用に不安や迷いがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。私たちは、中小企業の皆さまと共に、最初の一歩を丁寧に踏み出すお手伝いをいたします。
AI活用の波を“ただ見送る”のか、“乗りこなす”のか。
選ぶのは、今この瞬間の行動です！
BBドライビングフォース（BBDF）
代表取締役
藤本 英樹