今年も、東京大学松尾研のAI経営講座「AI Business Insights」全10回の講義が幕を閉じました。この講義を通じて「AI開発と活用の現在地」を定点観測していますが、今年は正にその「地殻変動」を肌で感じるシーズンとなりました。
今回の受講を終えて、いま感じていることを記録しておきたいと思います。
指数関数的な「受講者数」の伸びが示すもの
まず驚かされたのが、その規模の拡大です。今年の受講者数は約14,000人。昨年の2倍、一昨年の約30倍という、まさに指数関数的な成長を遂げています。この受講生の増加曲線そのものが、現在のAIの進化スピードとシンクロしているようで、データとしても非常に興味深い現象でした。
実践へと踏み込んだカリキュラムの進化
内容面でも大きなアップデートがありました。今年はサブ講義として実際のコーディング演習が組み込まれるなど、昨年以上に「ビジネスと技術の橋渡し」が具体的になっていたのが印象的です。単なる知識のインプットに留まらず、より手触り感のある充実した内容になっていました。
膨大な受講者を抱えながら、これほど質の高い講義を完遂された運営のPwCの皆さんには、心からの敬意を表します。受講者の急増に伴い、運営手法のアップデートなど目に見えない苦労も多かったはずですが、来年はさらなる進化を遂げられることを期待しています。
「変わらない講師陣」がもたらす、時系列のリアリティ
私がこの講義に参加し続ける最大の理由は、「時系列でリアルタイムの変化を体感すること」にあります。
あえて言えば、私は来年以降も「ある程度、代わり映えしない講師陣」での開催を期待しています。なぜなら、同じ専門家が「昨年はこう言っていたが、この1年で現実はこう変わった」と過去を踏まえて語る現場の声にこそ、最も深いリアルが宿っているからです。その「差分」を捉えることこそが、加速する時代の変化を読み解く鍵になると感じています。
ねづっち vs AI
そして、最終講義の締めくくりといえば、昨年に引き続きゲストとして登壇された漫談家のねづっちさん。昨年、AIとの謎かけ対決で圧倒的な勝利を収めた彼ですが、今年もその冴えは健在。またもや見事なまでの「圧勝」でした。AIの進化がこれほど著しい中でも、人間の機微や瞬発的なユーモアの領域では、まだ揺るぎない壁が存在しているようです。
ねづっちさんがAIに「参りました」と負けを認める日は、果たして来るのでしょうか?
もしその日が来るとすれば、それこそが真の「シンギュラリティ」の到来を意味するのかもしれません。
急速に変化と進化を続けるAI。来年、私たちはどのような景色の中でこの講義を再び迎えることになるのでしょうか。今から楽しみでなりません。

人間×AI共進化ストラテジスト/HRアーキテクト
藤本英樹(BBDF)

