「内的聴覚」とビジネスの関連性

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子どものころから、頭の中ではほぼ常に何らかの音楽(曲)が流れています。なんなら、実際に音楽を聴いているときでさえ、頭の中では別の曲が流れていることもあります(笑)。

流れてくる曲はほとんどが無意識のうちのもので、例えば、大きな仕事をやり遂げたときには、だいたいこれが流れます。

時には、意識的に自分で曲を流すこともあります。例えば、理不尽な詰めを誰か(上司など)に食らっているときは、いつもこれを頭の中で再生しています(笑)。

皆さんがどうかは分かりませんが、私はこの感覚を非常に気に入っています。「内的聴覚」と呼ばれるものらしいのですが、今目の前で起こっている出来事に相応しいBGMを頭の中で流すことで、状況をより楽しんだり、心の平穏を保ったりすることができています。

少し気になって調べてみたところ、20世紀の音楽教育家であるエドガー・ウィレムス(Edgar Willems)が、この「内的聴覚」の重要性を指摘していました。彼は著書『L'oreille musicale』の中で、「頭の中で音楽を響かせ、正確にイメージできる“音楽的な耳”を育むこと」を、最も素晴らしい音楽教育と定義しています。(以下はGoogle翻訳をもとにした内容ですので、誤解があればご容赦ください。)

彼は「聴覚」を次の3段階に分類しています。

1.「ouïr」 感覚的聴覚(身体機能として音が「聞こえる」状態)

2.「écouter」 意識的聴覚(意識的行為として音を「聴いている」状態)

3.「entendre」 知的聴覚(音の意味を「理解している」状態)

さらに、音楽家を次の4つの段階に分類し、「聴く力」の進化を示しています:

①:悪い音楽家:演奏「している」ものを理解していない(entendre)

②:並以下の音楽家:演奏「している」ものを理解(entendre)はしているが、聴いて(écouter)はいない

③:平均的な音楽家:演奏「した」ものを理解(entendre)している

④:良い音楽家:演奏「することになる」ものを理解(entendre)している

要するに、良い音楽家とは、今や過去の音ではなく、未来に鳴る音を頭の中で予測(イメージ)し、それに基づいて演奏を構築する能力を持つ人だということです。この段階に到達するには、高度な技術だけでなく、音楽的な洞察力や感性、深い集中力が必要です。

この定義は、ビジネスやその他の分野にもそのまま応用できるように思います。この考え方をビジネスに当てはめると、

①:今自分がやっていること(仕事など)が何のために行われているのか、何につながるのかを理解する。

②:①を理解した上で、それ(仕事など)がどのような状況にあるのかを正しく把握する。

③:過去に行ったこと(仕事など)の意義や価値を正しく理解し、必要に応じて軌道修正を行う。

④:将来を予測し、それに基づいた行動を取る。

一見当たり前に思えますが、この基本プロセスがしっかりできていない組織が多いように感じます。最も重要なのは未来をどうするかです。常に未来を予測し、経路依存性に陥ることなく、あるべき姿をイメージしながら物事をドライブしていきたいと考えています。

頭の中で楽しい音楽を鳴らしながら。

BBDF 藤本